こんにちは、JAGA(@ja_gaimopotato)です。
5年後、メディアは稼げるか – Monetize or Die ?を読みました。
色々と考えさせられることが多かった本です。
紙とWebの両方でメディアを経験し今後の変化を予測し、どう動くべきなのかが本書には書いています。
アメリカのメディアがどういった変化を遂げてきていて、その中で生き残っているメディア各社の特徴や生存戦略を分析し、日本ではそれらはどのように適用するべきなのかを考える内容となっています。
実際に筆者は、東洋経済オンラインを率いて月間5000万PVのメディアへと育てました。
この実績から得た知見は、非常に説得力があります。
そういったことから、国内メディアの現状、特に紙媒体に関しての現状を把握する資料としても良い本です。
これからはデジタルが主役になる
状況を考えるとオマケであったデジタルがどんどんと前に出てくる状況は既定路線でしょう。
既存メディアがもっと技術に対して考えを改める必要があるとしています。「でないと生き抜けない。」と言っています。
ぼくは大体その通りだと思いました。
実際いくつかのメディアに関する人たちと話しをしても、やはりまだデジタル方面はオマケといった意識が強いようです。あるいは儲からないというイメージをお持ちでした。
ひとつは、紙のネット版、分身のようなメディアを創るというやり方、もうひとつは、紙とは独立したまったく新しいメディアを創るというやり方です。
Webで爆発的に増えた情報量で相対的に速報のような事実関係重視の記事の価値は下がる一方ですし、人々の余剰の時間はゲームやアプリ、本、動画、音楽など色々なものと奪い合いをしなくちゃいけない。
そんな中に生まれる新しいメディアってわくわくします。
新聞社のイノベーションのジレンマ
新聞は1875年に宅配という画期的な発明が生み出されてから、まるでインフラ企業のような状況をつくりあげました。
この状況はアメリカと比較しても、特異なものです。新聞部数の減少率を考えると今後もすぐに収益が落ちるということはなく、緩やかな下降を辿っていくと予想されています。
これは有名なイノベーションのジレンマに陥っていると本書では指摘しています。
イノベーションのジレンマを読んだことがある方はご存知だと思いますが、上手く次の成長曲線へ移行できる企業というのは新しい取り組みを現在の収益とは別に持っていることがほとんどです。
実際にこの状況を打破するのは容易ではなく、新組織を社内に持つか、別会社をつくるか、外部の会社を買収するかによって、デジタル化していく時代を乗り越える必要があります。
そうした結果、新しいメディアの売り方を発明し、イノベーションが起きることで急激な世代交代が進むのでしょう。
アメリカは半端ではないトライ&エラーを繰り返しながら業界が進化しています。
きっとこの果てに最適なメディア運営の手法が発明されるのでしょうね。
この他、新聞以外にも雑誌についても言及し、記者や編集者のデジタル時代の戦い方についても考察していて面白かったです。