こんにちは、JAGA(ja_gaimopotato)です。
知のソフトウェアを読みました。
インプットとアウトプット、その両方に著者である立花 隆氏の実践してきた内容を網羅的に書いている本です。
約30年前の本ですが、最近手に取りました。
この本が書かれた時代とは情報の量が圧倒的に違いますが、それでも本書に書かれている著者がたどり着いた結論には、有用なものがたくさんあるように感じました。
インプットの仕方
ぼくの主なインプットは、読書とインターネットです。
あとは、人との会話でしょうか。
情報のインプットは、もっぱら目と耳を通じて入ってくる。
音声情報の入力スピードは、発語者まかせであるが、だいたい放送局のアナウンサーの話す平均スピードはが1分間に300字である。
ということは、1時間に18,000字。新書判程度の本を一冊朗読してもらうためには、6時間から8時間かかる。目で読むほうのスピードはどうか。これは読み手の能力と、読む対象の難易度によってまったくちがう。難解なものであれば、耳で聞く何倍もの時間がかかる。読むそばから理解できる平易なものであれば、遅い人でも耳で聞く速度の2倍、早い人なら4倍の速度で読むことができるだろう。
いずれにしても時間がかかるだろう。その時間に自分の読書能力と平均余命をかけ合わせるという簡単な計算で、誰でも自分が残りの一生であと何冊くらいの本が読めそうかはすぐわかるだろう。
だとするなら、本を読もうとするときに、それが自分が死ぬまでに読める残り何冊の一冊たるに値するかどうかを頭の中で吟味してから読むべきである。
確かに、限られた時間の中で以下に効率良くインプットできるかは日々考えないといけません。
ぼくも肝に命じながら、その本から何を得るか考えて読むように心がけています。
速読に必要なのは、ひとえに精神の集中である。それ以外に何の訓練もいらない。
ただひたすら雑念を捨て去り、目の前の文章に集中する。
速読法なるものを色々と読んだこともあるのですが、ほとんど身につかないです。まだこういう表現の方が、ぼくにはしっくりきます。
入門書は一冊だけにせず何冊か買ったほうがよい。その際、定評のある教科書的な入門書を落とさないようにすると同時に、新しい意欲的な入門書も落とさないようにする。
入門書をつづけて何冊か読むことが、その世界に入っていくための最良のトレーニングになる。入門書を読み終わったら、ただちに中級書に進むような乱暴なことをせずに、別の入門書を手に取るべきである。
一冊の入門書を三回繰り返して読むより、三冊の入門書を一回ずつ読んだ方が三倍は役に立つ。
ぼくは、新しい知識を得るために上手く本を利用することも多いです。
こういった指針は、良いヒントになります。
アウトプットの仕方
インプットとアウトプットの間には、深い何かがあります。
それは誰にも通用するような方法論があるわけじゃなく、自分で見つけるべきだというスタンスで書かれています。
本書では特に、書くという意味のアウトプットのことを指しています。
良い文章が書けるようになりたければ、できるだけいい文章を、できるだけたくさん読むことである。
知的アウトプットにおいては、目に見えない材料がきわめて重要な役割をはたす。目に見えない材料とは、無意識層に蓄積されている膨大な既存の知識や体験の総体である。
インプットによって蓄積された、この無意識に残っているものが意識できる(気がつく)ようにする方法がアウトプットのコツであるということのようです。
まるで、何もなしで書くというのは、私の場合、普通ではない。普通は簡単なメモを事前に作る。メモには二つの目的がある。一つは手持ちの材料の心覚え。もう一つは、閃きの心覚えである。
書き出しはいくら悩んでも良い。(中略)数日にわたって書き出しに手間取るということもある。こういう場合は、時間的な余裕があれば、もう一度材料集めをやり直すのがよい。(中略)書き出しをうまく発見できないときに試みる価値があるもう一つの方法は、自分が何を書こうとしているのかを人に話してみることである。
マインドマップとか、ノートに閃いたことを書いていると、あれもこれもって感じで出てくるときがあります。
そんな風に、すでに無意識には存在してる何かを、意識のところまで持ってくる方法こそが重要だという理解をしました。
さいごに
この本は読んでよかったと思います。
情報の分類の仕方にも詳しく書かれていて、その点をぼくはEvernoteに置き換えて読んでみたのですが、しっくり来るものもあればしっくり来ないところもありました。
例えば分類については、コウモリ問題のようなものがつきまといますが、これはどこに何があるか分かるようにするための分類に対してのことなので、単純に検索すれば済むことも多いです。
そして、適切な検索を保存しておけば、情報が更新されてもそれを捉え続けることができます。
ある考えやプロジェクトのために、ひとかたまりの情報のまとまりを作るという意味での分類であればその都度、コピーして複製したデータを作ればよいとも考えられます。
他にも、資料あつめと整理の手間のバランスなども状況が変わっていると感じます。
デジタルを中心に考えれば、検索が優れているツールを使えば整理という部分をすっ飛ばしても問題ないことも多いです。
しかし、これらは技術が発展したことで、時間やスペースというコストが軽減されたことが大きい理由ですので、特に本書が間違っているということではありません。
実際に、分類しないでEvernoteを運用するよりは、ノートブック単位である程度の分類をした方が使いやすくなりますし、本当にとても参考になることがたくさんありました。
このように、その中から今の自分と照らし合わせて、ヒントととして読み取っていくような読み方ができる良い本です。